2013年02月27日

グラフィックカードの内排気問題に対処するPCケースを企画する。


グラフィックカードの内排気問題を考える。」でオリジナルファンモデルにおける内排気の問題点を解説し、その対処法を考えたが、既存のPCケースではなかなか完全な対処法は見つからなかった。
しかし、グラフィックカードの製品を見ても、オリジナルファンモデルが人気を集め、主流となっていることを考えれば、なんとしても対処法を検討しなければならないはずである。
また、「自作PCエアフロー検討室」を名乗る以上、「対処法はありません」で済ますことはできない。

そこで、既存のPCケースで完全な対処ができないならば、この検討室で対処できるPCケースを企画してしまおうということで、今回は、PCケース企画案の第3弾として、グラフィックカードの内排気問題を解決するPCケースを考えてみることにした。

以前、「理想的なエアフローのPCケースを考える。 その4」で以下のようなPCケースを企画した。

PCC-AF-L001Pro.gif

基本的に、この企画案は直線エアフローを採用しており、グラフィックカードの排熱がケース内に排気されても、前面の2つの直進ファンの風によって内排気熱がCPUのファンにほとんど取り込まれずに背面から排気することが可能だと考えている。
さらに、CPUファンの下の位置に仕切り版のようなものを設置することで、CPUとグラフィックカードを遮断し、内排気熱をCPUへ流さない工夫をした。
これでグラフィックカードの内排気熱問題はほぼ解決すると思うが、そもそもこの企画案は内排気熱問題を主題としたものではなく、また現実的にCPUとグラフィックカードの間が狭いので仕切り板をうまく設置できるとは言えず、設置できたとしても、内排気熱がCPUのヒートシンクのそばを通過するので、多少は内排気熱の影響を受けることは避けられない。

そこで、今回の企画案は、ケース内のPCパーツが内排気熱の影響を全く受けないことを主題とし、これまで既存のPCケースでは無視されていた問題を解決するつもりである。

まずポイントとなるのは、内排気熱を速やかにケース外に排出することである。
内排気熱がケース内を通過すれば、その周辺のPCパーツが排熱の影響を受けることになる。
よって、内排気熱が発生したら、なるべく速やかにケース外に排気できるファン構成としなければならない。
すぐに思いつく方法として、ケースの側面、つまりグラフィックカードの排熱が内排気される位置に排気ファンを設置し、排熱をそのままケース外へ排気する方法である。
しかし、これには問題があって、前面ファンから吸気した空気が内排気熱とともにケース外へ排気されることになる。
もちろん、前面ファンから吸気した空気が全て排気されるわけではないが、これでは吸気した空気の一部がPCケース内の空気を循環させるために使われず、すぐに排気されることになるので、効率が悪い。
また、ケース側面の前方付近に排気ファンを設置することで、グラフィックカードのファンへ空気が流れにくくなることが考えられる。
さらに、側面に排気ファンを設置し前面の吸気ファンの空気がそこから排出されると、ケース内の気圧が負圧となりやすく、防塵性が下がり、背面や側面から排気された排熱が流入する恐れが生じる。
負圧を防止するため、またグラフィックカードのファンへ空気を送るために側面後方や上面に吸気ファンを設置すると、側面前方から排気した内排気熱をその吸気ファンから吸い込むことも考えられる。
以上のようなことを考えると、単純にケース側面前方寄りに排気ファンを設置するのは好ましいとは言えないだろう。

そこで考えなければならないのは、マザーボードを設置の仕方を変えるという方法である。
これまでにSilverStone社のPCケースでマザーボードを90度や180度回転させた例があるが、これと同様に内排気熱をケース外に排気しやすいように内排気口が適切な位置に来るようにマザーボードを回転するのがいいだろう。

では、適切な位置はどこかになるが、排熱つまり熱い空気は上昇するという煙突効果から考えれば、なるべく内排気口がケース上方になるようにマザーボードを回転させ、ケース上方から内排気熱を排気させるのが好ましいだろう。
また、上方から排気させれば、排気した排熱がケース内に流入することを防ぐことができる。
マザーボードの回転のさせ方は、SilverStoneのFT02のような煙突効果型PCケースと逆方向に90度回転させると内排気口が上向きとなり最も好ましい状態となる。
しかし、この場合、拡張スロットやI/Oポートがケースの底となり、この状態でPCを使用するのは難しいので、これは却下となるだろう。
そこで、マザーボードを180度回転させ、SilverStoneのTJ08-Eのようなマザーボードの配置にすることにした。
これならば、グラフィックカードがCPUクーラーよりも上の位置となり、PCケースの上部から排気すれば、内排気熱がCPUクーラーに流れることはないだろう。

ただ、この場合問題となるのは、前面吸気ファンから直進性がある風を流すと、内排気熱がグラフィックカードのファンへ流れ、そこから排熱を吸気することが考えられる。
それではまた新たな問題が発生することになるので、これを避けるためにグラフィックカードと平行の位置に前面ファンを取り付けず、グラフィックカードへの吸気は、側面のファンから行う方がいいだろう。

そして、グラフィックカードの排熱はケース上面から行う。
単純に上面に排気ファンを付けて排気する方法が考えられるが、グラフィックカードを拡張スロットの2段目に設置した場合、ケース上面のファンまで少し距離があり、円滑に上面から排気できるとは限らない。
そこで、グラフィックカードに近い位置、できればケース内部にファンを取り付けた方がいいことになるだろう。
しかし、内部の上方にファンを設置して拡張スロットの2段目にあるグラフィックカードのそばにファンを近づけるのは難しい。
マザーボードが邪魔になるからだ。
そこで、ケース上方の前方寄りにファンを縦に設置することを考えた。

PCC-AF-G001(本体).gif

上の図のように、グラフィックカードの横に設置すれば、グラフィックカードに近い位置で排熱を吸気することができる。
吸気した排熱は温度が高いので、内部のファンで吸気しておけば、後は上面の通気口からケース外へ排気されるはずである。
この方法であれば、ケース内に内排気された直後に内部ファンで吸気し、速やかにケース外に排熱を排気できることだろう。
さらに、内部のファンを図のようにケースにレールを設置して可動式にすると、グラフィックカードの長さにあわせて近距離で排熱を吸気することができる。
これならば、ハイエンドの長いグラフィックカードも楽に設置でき、ミドルクラスのグラフィックカードも近距離で排熱を吸気できるので便利なはずだ。
また、SLIやCFのようにグラフィックカードを2つ設置した場合でも、双方の排熱を吸気してケース上面から排気できるというメリットがある。
ロークラスについては、距離が離れることになるが、ロークラスは消費電力が低く発熱しにくいので、排熱でケース内温度が著しく上昇するころはなく、また近距離にファンがなくても上面の通気口から自然に排気することもできるだろう。
この可動式内部ファンによって、グラフィックカードの内排気熱問題は解決することができるはずで、CPUや他のパーツに悪影響を与えることなく、速やかにケース上面から排熱を排気することができるだろう。

ただ、この状態ではグラフィックカード自体の冷却という点では不十分である。
グラフィックカード本体を冷却できないし、グラフィックカードのファンが空気を取り込みにくくなることが考えられる。
そこで、ケース側面に120mmファンを2つ設置することにした。

PCC-AF-G001(正面・側面).gif

このようにすれば、グラフィックカード自体も十分に冷却することができるはずだ。
120mmファン2つの吸気に対して、排気にあたる内部ファンが1つということで、グラフィックカード周辺は吸気過多つまり正圧となるので、余分な空気はケース上方、背面の通気口や可動式内部ファンへ向かうことになるので、グラフィックカード周辺の熱をうまく排気することができ、好都合である。

PCケースをこのような内部構成にすることによって、CPUはグラフィックカードの内排気熱の影響を受けず、しかも180mmの直進ファンの風が直接CPUクーラーへ流れるので、冷却性は抜群になるはずである。
また、メモリも直接直進ファンの風が当たるので非常に冷えやすい。
グラフィックカードも2つのサイドファンで風を送り、可動式内部ファンと上面の通気口から内排気熱を速やかに排気でき、普通のPCケースよりも冷えやすいだろう。

このPCケースの特徴は、上記のように1つのケースでありながら、CPU部分とグラフィックカード部分で別々のエアフローを採用し、相互のエアフローが影響しないようになっていることだ。
ケースを2層化したように空気が流れ、CPU部分、グラフィックカード部分それぞれが冷えやすいエアフローにしてみた。
これにより、オリジナルファンモデルのグラフィックカードを搭載しても、内排気熱の影響はなく、CPU、グラフィックカードともに冷却性が高い優れたPCケースとなるのではないかと考えている。

少し問題があるとすれば、ケースの前面上方のスペースが有効に使えないので、3.5インチベイの数が少なくなったことだろう。
ただそれでもHDDを4台設置可能で、SSDについては裏配線スペースに設置できるようにすれば、それほど困ることはないだろう。
このPCケースは、内排気熱問題に対処したゲーム用PCケースと考えれば、HDDを5台以上設置できなくても納得してもらえるだろう。
また、ケース前面上方のスペースの問題で、電源スイッチや前面USBはケース正面から見て右上方に設置することになる。
裏配線スペースに余裕がある設計にすれば、そこに電源スイッチ類を設置することができるだろう。
ケースの幅は広くなるが、上で述べたSSDの設置スペースが確保することも容易となる。

このPCケースの推定寸法は、240(W)×485(H)×465(D)となり、一般的なケースよりやや幅が広くなるが、高さは標準的、奥行きはやや短くなる。
裏配線ホールをマザーボード周辺に多く設ける場合には、もう少し高さと奥行きに余裕が必要となるので、高さ、奥行きがそれぞれ2〜3cmくらい増すかもしれない。
その場合でも、一般的なPCケースより大型になることはない。

このPCケースは、前面に180mmファンを1つ搭載し、しかもマザーボードを180度回転させているので、SilverStoneのTJ08-Eの改良版と位置づけることもできるだろう。
TJ08-Eと比べると、寸法は増しているが、この企画案のケースではATXマザーボードに対応しており、CPU、グラフィックカードともに冷却性が向上している。
いずれ発売されるTJ08-Eの後継製品がこの方式を採用するとは思えないし、SilverStoneがどんな製品を発表するか分からないが、おそらく、SilverStoneが発売するケースよりもこの企画案の方が冷却性が高いだろうという手前味噌な自負はある。

別の企画案でも書いたが、当検討室は企画を考えるだけで、企画を実現する術は持ちあわせていない。
どこかのPCケースメーカーで、この企画を製品化の参考にしてもらえれば幸いであると思っている。
posted by PC_Considering at 19:42| PCケース企画案 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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