2012年05月24日

HDDケージのエアフローを検討する。


HDDの冷却は、CPU、グラフィックカードの冷却と並んで重要である。

HDDの冷却にとって重要なのは、通常、前面ファンからの風であろう。

ただ、HDDの設置方法には、主に水平縦置きと水平横置きの2つの方法があり、前面ファンからの風の流れ方に差がある。

水平縦置きは、以前は多くのPCケースで採用されていた設置方法であったが、最近では、この方法を採用するPCケースはかなり減ってきており、現在では、ある意味古典的な設置方法と言える。
この設置方法は、HDDを水平にしてPCケースの前面から見て縦に収納する方法である。
この方法の場合、HDDケージに邪魔されることなく、前面吸気ファンの風がHDDに当たるので、HDDの冷却性は高く、しかもその風がケース内部にスムーズに取り込める利点がある。
つまり、HDDの冷却性もケース内部への風の流れも非常に良いと言える。
しかし、この方法の最大の弱点は、PCケースの奥行きを利用するので、その分、グラフィックカードの設置スペースが少なくなり、30cm近い長さのグラフィックカードを設置する場合、干渉する恐れがある点だ。
したがって、ゲーマー用PCケースのように、ハイエンドクラスの長いグラフィックカードを設置することが多い場合は、非常に不向きなHDD設置方法であり、これが原因で、現在ではこの設置方法を採用するPCケースは少数派となっている。
これ以外にも、HDDの設置はやや面倒で、PCケースの後ろ側から挿入し、サイドをネジ止めする必要があり、また、コネクタがケース前面から見て後ろ側になるので、ケーブルを裏配線側から設置できず、見た目が悪い。
以上の点から、現在ではこの方法を採用する製品は、減少している。

一方、水平横置きは、PCケース前面から見てHDDを水平横向きに設置する方法で、PCケースのサイド側から挿入することができる。
したがって、設置は非常に楽でサイドパネルを開けてスロットインすることが可能で、多くのPCケースではツールレスで設置できる。
また、PCケースの奥行きをあまり使わないので、その分グラフィックカードの設置スペースは広く、長いグラフィックカードの設置には適している。
さらに、HDDのコネクタが裏配線スペースになるので、ケーブルを裏配線すると、ケーブルやコネクタが隠れ、見た目がスッキリするという利点もある。
以上のように、利点が多いため、現在ではこの設置方法が主流となっており、多くのPCケース、特に最近発売された製品では、大部分がこの方法となっている。
しかし、この設置方法の最大の問題は、HDDケージによって阻害されることから、HDDの冷却性が水平縦置きと比較して低く、またケース内部への風の流れが悪い点にある。
水平横置きの場合の風の流れは、「前面吸気ファン→HDDケージの穴→HDD→HDDケージの穴→ケース内部」となり、水平縦置きの流れ、「前面吸気ファン→HDD→ケース内部」と比べて、HDDケージによる風の流れの阻害によって、HDDの冷却性もケース内部への風の流れも非常に悪くなる。
HDDの冷却性については、水平縦置きよりは劣るものの、前面吸気ファンの風がHDDを通過するので、極端に影響が出るわけではない。
おそらく、水平縦置きと比べて、1〜2度の温度差だと考えられる。
よって、その点では、HDDの冷却性に非常に拘る場合でなければ、あまり気にすることはないかもしれない。
一方、ケース内部への風の流れの悪さは少し厄介だ。

参考までに水平横置きのHDDケージの風の流れを見てみよう。



HDDケージ部分の風の流れに注目して観ると分かる通り、HDDケージで風の流れがいったん滞って、ある程度風が貯まるとHDDケージの下の部分から激しく風が噴出している。
これでは、継続的に風が流れずに、ケース内部のエアフローが安定しにくいだろう。

一方、水平縦置きの場合の風の流れである。



この動画は、前面吸気ファンがなく、負圧を利用して前面から吸気しているので、若干条件が異なるが、PCケース下部のHDDケージを見ると、比較的スムーズに風がケース内部に流れている。
風がHDDを通過する影響で、若干気流が乱れるが、それでも水平横置きのような風の滞りはほとんどない。
しかも、前面に吸気ファンを設置していれば、もっと勢いよく風が流れるだろう。

PCケースや条件が異なるので、単純比較はできないが、やはり水平縦置きの方が、エアフローの点では優位であるだろう。
また、水平横置きの場合、HDDケージの穴の形状によって風の流れが異なるので、同じ水平横置きでもPCケースによって風の流れは異なるはずだ。
したがって、同じ水平横置きでも比較的HDDケージの穴が大きい製品を選ぶと、比較的風の流れはマシになるだろうが、ただ、やはり風の流れが悪いことには変わりない。
できれば、HDDケージに内部ファンが設置できるPCケースであれば、それを設置するとHDDケージ内の滞った風を内部ファンが吸引し、直接ケース内部に風を流すことができるので、効果的だ。
HDDの冷却性については、それほど変化がないかもしれないが、ケース内部のエアフローは確実に改善されるだろう。
問題は、ファンの数が増加しコストと静音性の点で難があるが、エアフローに優先度をおきたいならば、やってみる価値はあるだろう。
また、手軽な方法としては、HDDケージを取り外せる場合には、HDDを設置していないケージは外しておいた方がいいだろう。

以上のように、HDDの設置方法によって、HDDの冷却性もケース内部のエアフローにも差がある。
もちろん、水平横置きの方が、グラフィックカードの設置に余裕があり、HDDもスマートに設置できるので、利点があり、主流になっている理由がよく分かる。
したがって、それぞれの利点を理解した上で、PCケース選定の際の検討項目の一つに加えておくといいだろう。
posted by PC_Considering at 18:21| エアフロー総論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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