2012年09月09日

直進型ファン、使用上の注意点


ケースファンは、風の流れ方によって、主に2つに分類できる。
1つは、風が拡散されるタイプのファンで、一般的なケースファン、又は扇風機等のPC以外のファンは、ほとんどがこれにあたる。
もう1つは、風がビームのように直進するタイプで、SilverStone社の「Air Penetrator」が代表的である。
直進型のファンは、煙突効果型PCケースで採用され、一躍有名となった。
吸気ファンの風がマザーボードを網羅できる状態で、この直進型ファンを使用すると、直線的なエアフローを実現でき、吸気した風が突風のようにPCケース内を通過し、PC内部の熱を一気に排気できるので、非常に効果的である。

ただ、その一方で、通常の拡散型のファンのように、どんなPCケースで使用しても、効果があるというわけではない。
そこで、今回は、直進型ファン使用上の注意点を説明したいと思う。

まず、当然であるが、直進型の風なので、拡散はしにくい。
したがって、吸気から排気までの直線上にあるパーツ又は部品にしか風が通過しないことになる。
つまり、一般的なPCケースのように、5インチベイの下にある前面ファンを直進型ファンへ交換しても、CPUクーラーへ風が流れにくい。
もちろん、CPUクーラーにはファンがあるので、そのファンの静圧、つまり吸引力でCPUクーラーに直進ファンの風の一部が流れるが、拡散型ファンよりは、明らかに風量が少なくなるだろう。
また、吸気が直進ファンのみで、CPUクーラーへの空気の流れが少ない状態が続けば、CPUクーラーのファン付近の負圧度が高まり、それが直進ファンの推進力より勝れば、直進ファンの風がより多くCPUクーラーへ流れることになるが、そうなると、直進ファンを設置した意味が少なくなってしまう。
この場合、直進ファンよりは、素直に拡散型ファンを設置しておいた方がいいだろう。

また、前面下段に直進ファンを設置するのは、あまり意味がない。
HDDに強い直進性がある風が当たるのはいいことだが、拡散型のファンと比べて、HDDの温度を明らかに低下させる程の効果はないだろう。
しかも、HDDを通過した風は、電源に流れるだけで、僅かに電源を冷却する効果はあるだろうが、電源が底面吸気のケースであれば、こちらも、たいした差はなさそうだ。
さらに、電源に直進した風が流れる場所がなくなると、滞留することになるので、あまり好ましくない。

このように、一般的なPCケースの前面に直進ファンを設置しても、意味がないどころか、むしろマイナスになることが多いだろう。
この点については、SilverStoneのTJ08-Eを見れば明白だろう。
TJ08-Eは、前面にAir Penetrator AP181を搭載しているが、直進ファンを有効に利用するために、マザーボードを逆さまして、CPUクーラーとグラフィックカードに風が真っ直ぐ当たるように工夫している。
つまり、このような工夫をしないと、一般的なPCケースでは、直進ファンを有効に利用できないこと意味していると言っていいだろう。

では、前面以外の吸気口に設置するのは、どうだろうか。
側面に設置した場合、グラフィックカードに強い直進性がある風を当てることができるので、効果的ではあるが、必ずしも直進の風である必要性はないだろう。
むしろ、拡散型の風の方が、前面吸気ファンの風の流れを乱すことが少なく、PC全体のエアフローには、好都合である。
底面に設置した場合には、煙突効果型ケースと同様のエアフローになりそうに見えるが、マザーボードが90度回転しているわけでもなく、底面に複数のファンが設置できるわけでもないので、効果は低い。
前面から背面へのエアフローをメインにしている場合には、むしろ、底面からの直進の風がそのエアフローを遮断することになるので、好ましくない。
通常、排気で使用されることが多い上面に設置した場合も、底面と同様の結果となる。

以上のように考えると、一般的なPCケースの内部構造とエアフローでは、直進ファンを使用することは、マイナスとなることが多いだろう。

ただ、前面にグラフィックカードと同じ高さの位置に直進ファンを設置した場合には、グラフィックカードの熱を背面へ押し出す効果があるので、この点については、プラスである。
しかし、その場合には、CPUクーラーへの吸気を確保する必要があるので、上面からの吸気をする必要が出てくるだろう。
しかも、上面の吸気は、CPUクーラー手前でなくてはならないので、上面ファンが2つ設置できるPCケースの前方寄りのファンを吸気としなければならないので、PCケースによっては無理な場合もある。
したがって、かなり限られた条件でしか直進ファンを設置するメリットがなさそうだ。

簡易水冷クーラーを使用する場合であれば、CPU部分にファンがいらないので、グラフィックカードに前面から直進風を当てて、背面から排気するというメリットがありそうだが、ラジエーターとそのファンは、背面排気口に付けた方がいいだろう。
上面に設置した場合には、ラジエーターのファンの吸引力によって、直進性の風が上部に流れやすくなり、空冷クーラーのファンと同様な状況になるだろう。
ただ、簡易水冷クーラーの場合には、直進ファンはある程度有効に利用することができそうだ。

以上のように、簡易水冷クーラーの場合は、比較的有効に直進ファンを使用できそうだが、それ以外の場合は、なかなか効果を発揮しにくい。
ファンがマザーボードを網羅するように設置できるPCケースでなければ、直進ファンは使用しにくい。
煙突効果型ケースで、直進ファンが効果を発揮するのは、「煙突」だからではなく、マザーボードを90度回転させ、ファンの風が直線的にマザーボード全体を網羅し、しかも、そのまま排気できるからである。
したがって、そのような条件を満たしていなければ、風が直進しても、不都合なだけで、むしろ拡散する方がいいということが多いだろう。

その点をよく考えて、直進ファンを選択するかを決めなければならない。
posted by PC_Considering at 10:37| エアフロー総論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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